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ポストコロナの合気道は、正確に突く/打つ稽古から?


杖の突き

【あたらしい日常とはなんだろう】

4月22日WHOテドロス事務局長は、「世界は私たちがいた元の姿に戻ることはできないでしょう。『新しい日常』になるはずです」という趣旨の発言をされました。

その前にハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームは、「米国は医療体制が充実しワクチンが開発されなければ、2022年まで措置を継続しなければならない可能性がある」と専門誌に研究報告をしたとのことです。

素人がどうこう推測しても意味がないと思いますが、新型コロナウイルスが早期に封じ込められる。終息するという感染症の専門家は、世界中のどこにもいなさそうです。

そして日本でも、5月4日専門家会議が「新しい生活様式」に切り替えることが必要だと発表されました。

感染防止の基本は、

①身体的距離の確保 

②マスクの着用 

③手洗い 

の3つです。

そして具体的な実践例として、[娯楽 スポーツ等]では

◯公園はすいた時間や場所を選ぶ

◯筋トレやヨガは自宅で動画を活用

◯ジョギングは少人数ですれ違うときは距離をとる

◯予約制を利用してゆったりと

などが上げられています。

えーっと、そうすると合気道はどうなるんでしょうか?

まあ、やるな。やるなら家庭内で、というぐらいかなと推測します。

【最悪を想定して、いまできることを考えると】

一刻も早い終息を祈るばかりですが、どうなるだろうと予想だけしたところで意味がないので、最悪がどうなるか。最悪の状況にまでならない場合は、どういうことをできるかを考えます。

自分の感情をただ抑制したり楽観的にしようとするのではなく、冷静さと客観性を維持できるようコントロールするには、そういう思考をしておいた方がいいはずです。

◯最良は、もちろん新型コロナウイルスが撲滅されることです。世界中から新型コロナが消え、コロナ以前のような生活の続きができることです。もちろん合気道も以前のようにできる。

◯最悪は、合気道ができなくなることです。

その場合は合気道だけではなく、ほとんどの武道や格闘技はできなくなっていることでしょう。スポーツも、離れて行う競技しかできなくなっているかもしれません。

最悪のシナリオは、どういうときに起こるでしょうか。

それは感染者数が高止まりしたまま、あるいは再燃したときです。ハーバード大の報告「米国は医療体制が充実しワクチンが開発されなければ、2022年まで措置を継続しなければならない可能性がある」が妥当だとすれば、日本も同じようなものかもしれません。ワクチンが開発されない限り、合気道は2022年まで出来ないということになります。

もちろん、ワクチンが開発されなくても既存の抗ウイルス薬・レムデシビルなどが劇的に治療効果がある。ということになれば、状況は一変します。最良に近い状態になるはずです。

しかし最良と最悪の間で、最悪に近い状態が、2022年まで続いたとしたら。

出来ることは何もなさそうです。

【稽古再開、あるいは解散のライン】

精晟会渋谷では、東京都の平日の自粛要請解除後に稽古を再開しますとしていますが、自粛要請が何ヶ月も続くなら、解散せざるを得ません。休止していても民間のスタジオは定期で借りていますので、月に数万円掛かります。もちろん、解約して再度借りることも考えられます。

自粛要請が解除され、公営の武道場が使えるようになっても、会員が来られなければ成り立ちません。3月下旬、会社勤めの人たちは次々に会社から仕事以外での不要不急の外出自粛を言われています。

精晟会渋谷をはじめてから、あちこちで師範の方々から施設の費用を聞かれ、答えると皆驚かれます。スタジオはもちろん高い。

渋谷区の武道場は、たぶん東京で最も高い時間あたりの利用料です。あくまで私の知る範囲では、公共の施設を使っている場合、渋谷区の施設1回の利用料金より、年間の使用料が安い道場がほとんどです。昨年の消費税増税からは、エアコンのコントローラーに鍵がかかり、使うためには別途料金がかかります。使えば実質的に15%程度の値上げです。このエアコン使用料より、1回当たりの使用料が安い道場ばかりです。

道場じゃなくても、都心だと何だって家賃や利用料はそうなるのです。

だから解散せざるを得なくなる、見切る必要があるタイミングは、他の団体よりもとんでもなく早い。私の知る範囲の団体は、精晟会渋谷の1ヵ月の費用で、2年分3年分をまかなうことができます。

最悪はそういうことです。

【新型コロナウイルスがどこにでもいる前提で】

そこまで最悪ではない状況は、どういうことが考えられるでしょうか。

コロナ禍が沈静化に向かい、非常事態宣言や外出自粛要請が解除されれば、大勢が街に出てくる。無症状の感染者は電車にも乗るし、自由に出歩く。

それは私かもしれないし、あなたかもしれない。

大阪府知事が独自の自粛解除基準を発表されました。基準が明確なのは素晴しいですが、解除されても「新しい生活様式」は維持するということでしょうし。そうじゃなければ、簡単に再燃してしまいます。

これまでのところ、無症状感染者の見積もりには大きなばらつきがあるそうです。

ナショナルジオグラフィックによると、米国立アレルギー感染症研究所は、無症状感染者の割合は50%にのぼる可能性(CDCの見積もりの約2倍の数字)があるとし、「ダイヤモンド・プリンセス号」では18%という低い数字が報告され、武漢からチャーター機で日本に帰国した感染者の29%が無症状。中国は無症状感染者の割合を60%としているそうです。

そんな一般的な風邪やインフルエンザのように、新型コロナウイルスがどこにでもいる前提で考えるなら、稽古前後の徹底した手洗いと消毒、そしてマスクは必須でしょう。インフルエンザでも、日本国内では2018年も2019年も、3000人以上が亡くなっています。

トレーニングジムや娯楽施設が再開するなら、きっと「密閉」「密集」「密接」の三密はクリアしているはず。

合気道はどうでしょうか。うちの場合は、ドアや窓を開け換気扇を回し扇風機も回していますので、密閉にはなりません。稽古は数人ですから密集はなりませんが、公共の施設だと更衣室が密集する場合があります。

そして密接。合気道である以上、密接は避けられません。

ソーシャルディスタンスは2m以上。約2mの距離を開ければ、飛沫による感染可能性を低減できるというもの。

そうですね、マスクを着用し、気合いなし。話をするときは2m以上の距離を保ったとしても、接触はあります。技では手首を持ちます。打ちや突きを止めるとき取るとき、接触します。

2月下旬だったと思いますが、ある行政機関では、プライベートでのマッサージやエステ、接触のあるスポーツなどを自粛するようにとの内部通達があったそうです。民間の企業ではタイミングこそ違っても、プライベートの自粛を言われるのは同じようなこと。守らなければ、解雇だってあるかもしれません。

パーソル総合研究所の調査によると、東京では緊急事態宣言後、テレワークの割合が49.1%になったそうです。テレワークを実施していても出社もしていてる割合は高止まりしているようですが、とにかくテレワーク率は高くなる一方のようです。感染予防のためにテレワーク実施を続けているなら、プライベートの行動も制限するはずだと思います。

とすれば社会的に最良の状態に近づいても、ワクチンが開発されたり既存の抗ウイルス薬があまり効果を発揮しなければ、2時間接近して接触しっぱなしの稽古はできないだろうと思うのです。

もしかしたらが2022年まで、そうかもしれないと。

想像していると、どんどん妄想に近くなってきます。

しかし治療法が確立するまでは、2019年までのような合気道の稽古ができないことは確実そうです。

【接触しない稽古方法があればいい?】

じゃあ、最良に近い状態になって稽古を再開するなら、どんな稽古方法があるのかと考えたら、当たり前に接触しなければいいんじゃないかという結論に至ります。

接触しないためには、剣や杖を使う。

剣杖を使うといっても、単独で型をやるなら、道場でやる意義は少なさそうです。

養神館に基本動作を剣を持って行う剣操法がありますが、剣操法は単独や相対で行う基本動作の動きの元になった意味を知るためのものだと思いますので、剣操法だけを取り出して稽古してもどうでしょうか。数回ならいいと思いますが、毎回毎回それをやるのはどうかと。

杖は養神館全体としては稽古方法がありません。団体によっては三十一の杖を行っているところもありますが、杖の場合も単独でやるのは身体を練るためのものだと思います。

攻防の方法を学ぶものではないはずです。

相対でやるのはどうか。

私はYouTubeなどで見ることのできる剣取り杖取りあるいは投げは、流れでやりすぎていて、演武としてならともかく、通常の稽古にはならないと思っています。少なくとも養神館の場合なら、徒手の基本技の代替にならなければ、あえてやる意味があるかどうか。

代替にならないまでも、次善の策ぐらいにはなればいいと思い、とにかくやってみました。やったことがないのですから、試行錯誤です。そのときの様子が、この動画で見ることができます。

接触するかどうかといえば、接触はする。でもまあ、徒手の体術と比較すると極端に接触は少なくなる。

それなりに様々な技が出来そうなことは分かりましたが、他の問題点は大きくふたつ。

まず、それなりに受け身ができること。それも剣や杖を持って受け身ができるかどうか。この動画の最初でも体透かしをやっていますが、ゆっくりと、しかも身体で足を払いに行っていません。危険だということで、そうしました。仕手受け交代して、私が受けられるかというと、ちょっと躊躇します(笑)

剣を持っての受け身はやっていますが、足を払われるとなると次元が違います。

そこまで行かなくても、例えば両手で杖を握ったまま後ろに倒されると手は使えませんので、身体を丸く使えるかどうか、レベルの受け身能力は必要です。

【正確に当てること止めることができるのか?】

そして、剣杖を正確に扱えること。剣杖をやっていて、組太刀など相対で稽古している人でも、ピンポイントで打つ突くを正確にできるかというと、実際はかなり難しいです。

杖道などでも、間合いまでがっちり型化されているので、ピンポイントで当てるのは難しいかもしれません。

徒手の稽古でも、突きや打ちを実際に当たるところまでしないと、流したり力をもらって動かす稽古にはなりにくいのです。「寸止め」と「寸極め」を違うものとして使い分ける言い方がありますが、止めるとなると、かなり手前で止めてしまいがち。パチンと当たる程度には、突いたり打ったりした方がいい。当たらないなら、合気道では動く必要はないのですから。

それを剣杖でやるなら、はるかに高い精度が必要になります。こめかみなど当ててはいけない場所もありますが、鳩尾なら道着がパチンと音を立てるぐらいには当てた方がいい。でも、それが上や左右にズレて、肋骨に当たるとかなり危険です。

だから動画でも実際には突かずに、持たれたところから始めています。

本気で突いていったのを掴むなら、突く側の正確性もですが、避けて掴む側もかなりの練度が必要になる。

つまり徒手の体術より、桁違いに難易度が高くなりります。

いやまあ、そんなことは当然で、やってみる前から分かっているのですが(笑)

とりあえず最初から大きなことを求めず、剣杖を正確に扱えることから始めてみるなら、道場の稽古としても良さそうです。

最近ひとり稽古をしている人の文章や動画を見ると、ただ回数をこなしたり、型をされている方が多いようです。正確に打つ突くことをされている方は、見つけることができません。

だから #ピンポン球突きチャレンジ なんてことをやってみました。

今のところ、誰もやってくれません😢

この動画は、冗談ですが。ぜひ、やってみてください。

【現実的なハードルの高さ】

剣杖を正確に扱えることから始めて、基本技の代替として稽古を目指す。自粛要請解除後、ワクチンが開発され治療法が確立するまでは、ありそうです。

あるけれども、じゃあ剣や杖をどうするのか。

私が全員分用意して持っていくなら可能かもしれませんが、歩いたり電車に乗るのはかなり大変です。仕事の場にまで持ち歩いたり、私が全部を消毒して管理するのも現実的ではないですし。

じゃあ各人に買ってもらって、稽古のときに持ってきてもらうのはどうか。会社に持っていくのが環境的に可能な人は、とても少ないでしょう。

とハードルはかなり高いと思います。

ただそうやって、考えながら検証してみて準備するしかありません。

これからオンライン道場もやりますが、これは座学だったり、コミュニティとしての集まりだったりします。前にも書きましたが、合気道だとオンラインを稽古として成り立たせるのは難しく、1年2年と続けてやれるものではないはずです。

2022年なら、もしかしたら手首の触覚まで再現するデバイスが登場していて、VRによるマンツーマンのオンライン稽古ができるかもしれません。が、そんなニーズがなければ製作されないでしょうし、技術的に可能になってもコストが見合うかどうか。現在のところ、それほどリアリティがありません。

今のところ、私に考えられる有望な線は剣杖を使うことなので、持ち運びも含め剣杖をどう稽古に使えるかを考え、検証していこうと思っています。

試してみて分かったことは、杖を通じて相手を動かすのは、力を使わないとか、動く方向を察知して考えるとか、徒手以上に感覚が必要になって、とても良さそうですよ。

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